云ふぢやないか。余程好い女ださうだね。黄金《きん》の腕環なんぞ篏《は》めてゐると云ふぢやないか。酷《ひど》い奴な! 鬼神のお松だ。佐分利はその劇なるを知りながら係《かか》つたのは、大いに冒険の目的があつて存するのだらうけれど、木乃伊《ミイラ》にならんやうに褌《ふんどし》を緊《し》めて掛るが可いぜ」
「誰《たれ》か其奴《そいつ》には尻押《しりおし》が有るのだらう。亭主が有るのか、或《あるひ》は情夫《いろ》か、何か有るのだらう」
皺嗄声《しわがれごゑ》は卒然としてこの問を発せるなり。
「それに就いては小説的の閲歴《ライフ》があるのさ、情夫《いろ》ぢやない、亭主がある、此奴《こいつ》が君、我々の一世紀|前《ぜん》に鳴した高利貸《アイス》で、赤樫権三郎《あかがしごんざぶろう》と云つては、いや無法な強慾で、加ふるに大々的|※[#「※」は「女+(徭−彳)」、82−10]物《いんぶつ》と来てゐるのだ」
「成程! 積極《しやくきよく》と消極と相触れたので爪《つめ》に火が※[#「※」は「火+(稻−禾)」、82−12]《とも》る訳だな」
大島紬が得意の※[#「※」は「言+(墟−土)」、82−13]浪《
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