》に気が移つて、直《ぢき》にお前の恋は冷《さま》されて了ふのは判つてゐる。その時になつて、お前の心地《こころもち》を考へて御覧、あの富山の財産がその苦《くるしみ》を拯《すく》ふかい。家に沢山の財が在れば、夫に棄てられて床の置物になつてゐても、お前はそれで楽《たのしみ》かい、満足かい。
僕が人にお前を奪《と》られる無念は謂《い》ふまでも無いけれど、三年の後のお前の後悔が目に見えて、心変《こころがはり》をした憎いお前ぢやあるけれど、やつぱり可哀《かあい》さうでならんから、僕は真実で言ふのだ。
僕に飽きて富山に惚《ほ》れてお前が嫁くのなら、僕は未練らしく何も言はんけれど、宮さん、お前は唯立派なところへ嫁くといふそればかりに迷はされてゐるのだから、それは過《あやま》つてゐる、それは実に過《あやま》つてゐる、愛情の無い結婚は究竟《つまり》自他の後悔だよ。今夜この場のお前の分別《ふんべつ》一つで、お前の一生の苦楽は定るのだから、宮さん、お前も自分の身が大事と思ふなら、又貫一が不便《ふびん》だと思つて、頼む! 頼むから、もう一度分別を為直《しなお》してくれないか。
七千円の財産と貫一が学士とは
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