へ飛んで来て、なんとかしてほしいと頼みました。
 A女は眉をひそめました。
「だから、わたくし、初めから言っておいたじゃありませんか。」
「ええ、それはそうですけれど、まさか、こんなことになろうとは思わなかったものですから……。」
「わたくしはまだ、自分の信仰の道を、売り物にはしたくありませんの。松しまさんのことだから、謝礼とかなんとか、そんなことを言われるに違いありません。なんだか、普通の行者や易者などと、同じように見られてるような気がしますわ。」
「それは、わたくしからよく申しておきましょう。とにかく、考えなおしておいて下さいよ。頼みますわ。」
 小泉さんは遠慮して、しつっこくは言いませんでした。
 けれども、松しまの女将さんの方は、京都から帰ってくると、やたらに催促しました。達吉に毎度言づてするばかりか、小泉さんのところへ女中を寄来して、先方へ願ってほしいと頼みました。稲荷さんを祭る場所がきまらないので、庭師の仕事にも差支えて困っている、とのことでした。
 それを聞いては、A女も無下には断りかねました。名前だけはあくまでも祕して、という条件で、小泉さんと一緒に出かけて行くことにし
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