らしくはあるがまた可なり鈍感らしい春子と、どうして沢子がそう親しくしてるのか、昌作には不思議な気がした。二人は全く似つかわしくなかった。同じ家に二人きりで働いてるということと、春子が殆んど一人でその喫茶部全体の責任を負わせられてるということとだけでは、二人が親密になる理由とはならなかった。強いて云えば、表面何処か呑気な楽天的な所だけが相通じていたけれど、それも春子のはその善良さから来たものらしいのに、沢子のはその理知から来たものらしかった。――昌作は、やがて奥から沢子と一緒に出て来た春子の、一寸見では年配の分らない、変に厚ぼったい、にこにこした顔を、不思議そうに見守った。
「佐伯さん、お感冒《かぜ》ですって?」
 眼の縁で微笑しながら春子はそんなことを云った。
「ええ、少し。」
「それじゃ、お酒よりも大根《だいこ》おろしに熱いお湯をかけて飲むと、じきに癒りますよ。」
 昌作が黙ってるので、沢子が横から口を出した。
「ほんとかしら?」
「ええほんとですよ。寝しなにお茶碗一杯飲んでおくと、翌朝《あさ》はけろりとしててよ。」
「あなた飲んだことがあって?」
「ええ。感冒をひくといつも飲むんで
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