を駆り立てるがようだった。彼はむやみと葡萄酒を飲んだ。熱《ほて》った額に瓦斯煖炉の火がかっときた。そして頭が麻痺していった。本当に酔ってしまった。禎輔も可なり酔っていた。話は当面の事柄を離れて、一般的な問題に及んでいった。その問題で二人は論じ合った。――昌作の頭には、自分が次のようなことを云ったという記憶しか残らなかった。
――自分は盛岡で、フランス人の牧師に一年ばかり私淑していた。そしてその牧師から、自分が本当にクリスチャンにはなれないということを、明かに指摘された。「イエス彼に曰《い》いけるは主たる爾の神を試むべからずと録《しる》されたり。」けれども自分は、神を試みてからでなければ神を信じられなかった。
「誠に実《まこと》に爾曹《なんじら》に告げん一粒の麦もし地に落ちて死なずば唯一つにて存《あ》らんもし死なば多くの実を結ぶべし。」けれど自分は、自分自身のことしか考えていなかった。「爾曹もし瞽《めしい》ならば罪なかるべし然《さ》れど今われら見ゆと言いしに因りて爾曹の罪は存《のこ》れり。」けれど自分は、そういう罪を負ったパリサイ人になら甘んじてなりたかった。そして今でも甘んじてなりた
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