に、こちらを向いて、金色《こんじき》の大きな鳥がとまっているではありませんか。その鳥の全身から出る金色の光に、王子は眼がくらみそうになりました。それからようやく気をとりなおして、じっと向こうを見やりました。すると、何故《なぜ》ともなく、その大きな木は森の王の樫で、その金色の鳥は夢の精だということを、王子は知りました。森の唸《うな》り声はいつの間にかやんでいました。
 鳥はそのめのうのような赤い眼で、王子の姿をじっと眺めましたが、しばらくするといきなり大きな翼を広げて、王子の前に飛び下りてきました。そして足を屈め頭を垂れて、背中に乗れとでもいうようなようすをしました。王子はちょっと迷いましたが、鳥のめのう色のやさしい眼を見ると、すっかり信じきった気持ちになって、その背中へ飛び乗って、柔らかい首筋《くびすじ》へしっかとしがみつきました。
 王子が背へ乗るが早いか、鳥は大きな金色の翼を動かして飛び上がりました。不思議なことには、そんな大きな翼で飛んでるのに、少しも空を切る音がしませんでした。一|瞬間《しゅんかん》のうちに、森の枝葉《かれは》の茂みの上にぬけ出て、それから空高く舞い上がり、一時
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