が、鏡に照らされてるせいか、翼がよく利かないで、ばたばたと地面へ落ちて来ました。そしてなお足で逃げようとするのを、強い家来達が大勢《おおぜい》で取って押えて、象の背中の籠《かご》の中へ入れてしまい、籠の上にはさらに袋をかぶせました。
皆は鏡の力にいまさらながらびっくりし、次には踊り上がって喜びました。国王は魔法使いを捕《とら》えたつもりでいましたし、王子は夢の精を捕えたつもりでいました。そして一同は喜び勇んで城の方へ帰って行きました。
城に着くと、城の中の者はもちろんのこと、話を伝え聞いた町の人達までが大勢、魔法使いが捕《つかま》って来るというので、首を長くして待ち受けていました。国王は城の広い庭に鳥籠《とりかご》を下ろさせ、それから袋を取り去って中をのぞきました。まわりの人達も一度にのぞき込みました。
ところがどうでしょう。籠の中には、魔法使いもいなければ金色の鳥もいませんでした。ただ一つ、大きな黄金《おうごん》の卵《たまご》形のものが転がってるきりでした。皆はあっけにとられました。国王は早速《さっそく》例の鏡をさしつけてみましたが、やはり大きな黄金の卵形のもので、その色も光も
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