や花や化《ば》け物や、そのほか見たことも聞いたこともない不思議なものが、夢の中に出てきました。
 それらの夢をみることが、王子にとっては一番の楽しみでした。そして翌朝になると、侍女《じじょ》や学者達に、また国王や女王へまでも、夢の話をしてきかせました。水の精から銀の魚をもらったことだの、真珠《しんじゅ》の眼玉を持ってる小鳥のことだの、空いっぱいにまっ赤な花を開いた大きな草のことだの、奇妙《きみょう》な声で歌いながら踊る虫のことだの、五色の息を吐く怪物のことだの、自由自在《じゆうじざい》に空を飛び廻る仙人のことだの、いくつもいくつもありました。
 王子があまり夢のことばかり話すものですから、国王はある時王子をたしなめました。
「そんなに夢のことばかり考えないで、お前はもっと確かなことに心を向けなければいけない。学者達についてもっと熱心に勉強しなければいけない。学問というものは、みな確かな本当のことばかりで、深くはいると、夢よりもいっそう不思議なおもしろいものだ。ところが夢の方は、みな不確《ふたし》かな嘘ばかりで、眼がさめると消えてなくなるではないか」
 けれど王子にとっては、夢もやはり学
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