頭の毛の数とを言って、そのために不思議な術を得て、死なない前に自分の身体を石にしてしまいました。
 石になった彼の身体は、やがて家の人達に見いだされ、それから大変な評判になって、王様の耳にまで聞こえました。王様は石になった彼を宮殿に運ばせて、魔法探しに出てからのことをいろいろ尋ねられましたが、彼はもう石になってしまっていましたので、何一つ口を利《き》くことができませんでした。それで、不思議な魔法めいた術のことも、空の星の数も頭の毛の数も、誰にも伝えられずに、ただ彼の石の身体だけが、永く残りまして、学者達から尊《とうと》ばれ拝《おが》まれています。



底本:「豊島与志雄童話作品集1 夢の卵」銀貨社
   1999(平成11)年12月17日第1刷発行
入力:田中敬三
校正:noriko saito
2007年8月22日作成
青空文庫作成ファイル:
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