のだから、これから魔法を学んでやろう」
そう決心した彼は、いろんな古い書物を調べたりいろんな人に尋ねたりしましたけれど、どうしたら魔法が使えるかさらに分かりませんでした。けれども、魔法使いの話が伝わっているからには、どこかにそういう者がいるに違いありません。
そこで彼は、王様や人々に別れを告げ、多くの旅費を用意して驢馬《ろば》に乗って、魔法使いを探しに出かけました。
幾年も彼は旅を続けました。魔法使いの住居《すまい》を、遠くから来た旅人や方々《ほうぼう》の学者に尋ねたり、自分で探し廻ったりしましたが、どうしても分かりませんでした。しまいには、用意の旅費もなくなってしまい、驢馬を売り払った金も使ってしまい、乞食のような旅をしなければならなくなりました。それでも彼は決心を変えませんでした。どうにかしてその日の食物を手に入れながら、方々の土地を歩き廻りました。
さらに幾年かの後《のち》、彼はある広い広い森の中に迷い込みました。いくら行っても森ばかりで、人の姿はおろか、人の通った跡さえも見えません。何千年経ったとも分からない大木が立ち並んでいて、その枝葉の茂みで空を隠していて、昼は日の
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