ではどうだ、と使の者に云ったものです。博士様ならなお結構だ、と朴訥な作男は答えます。
そんな工合で、僕がまあ代りに行くことになって、顎骨の脱臼をはめこむ仕方をいろいろ教わって、作男に案内されて出かけました。
ところが、顎の骨をはめこむことは何でもないが、ひどい危険が伴う、うっかりしてると指を食い切られる、とそう先生におどかされたものですから、僕は途々心配でたまらなくなりました。そして、教わった方法をいろいろ考えてるうちに、ふと気懸りな一事につき当りました。するともう何の余裕もなく、いきなり男に尋ねたものです。
「君、※[#「臣+頁」、第4水準2−92−25]が外れたって、その外れたのは上か下か、どちらなんだい。」
「さあ、どっちだったかな。」と男はしきりに考えています。
こう話してしまえば笑い話ですが、その時は実際、外れた※[#「臣+頁」、第4水準2−92−25]の骨は上か下かと、ひどく心配したものです。下※[#「臣+頁」、第4水準2−92−25]の骨をはめこむことしか教わっていなかったものですからね。そして僕は頭の中で、人体の骨格や解剖図をくり拡げました。が遂に……それが分ると
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