度子供を抱いてる石地蔵のように見える。隆吉の頭がまたいやに固そうに見える。お母ちゃんという言葉を知らないで彼は幼時を過してしまうのかと、ふと考えてみたが、それも何処かへ飛び去ってしまう。後はしいんとしている。眩しいほどの光りと音響との世界だ。光りと音との波に溺れて、凡ての事象がひっそりと凝り固まっている。
殆んど終日黙って暮す。酒も飲みたくない。
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十一月二十四日――発熱。脈搏不整。四肢の筋肉に軽い痙攣。
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急性薄脳膜炎の症状を少し調べてみる。中途で気づいて止す。何の気兼ねぞ!
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十一月二十五日――俺は凡てを知っている。俺は死ぬのではない。
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怪しい幻想になやまされる。
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十六
以上が、洋罫紙に細字で認められてる全部だった。それは吉川の手で書かれたものに違いなかった。中に出てくる人物で、Y子というのは保子のこと
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