字下げ]
今月になって五回、〇・〇〇二に当る分量を服用した。反応微弱。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
十一月九日――皮下注射と内用との身体に及ぼす影響の差が、よく分らない。今日少し調べてみたけれど、やはり分らない。然し、顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]部の皮下注射が弱視に効果あるとすれば、少し分量を増した内用も、やはり効果あるべき道理である。その上俺は元来胃腸が非常に悪い。薬の内用に依って、胃腸粘膜の鬱血を散じてその働きを佳良ならせるならば、一挙両得というべきである。その上俺は、可なりアルコールに害を受けている。もしこの薬によって呼吸中枢を興奮させ得るならば、同時に三得となるわけだ。
十一月十一日――視力の減退が著しい。試みに眼鏡屋へ行ってみたが、近眼の度が進んでるのではなかった。物の表面をしみじみと見ることが出来ない。輪郭も凡てぼやけている。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから1字下げ]
薄暗い世界だ。何もかもぼんやりしている。気が苛立ってくる。一寸したことでも癪に障る。何かに脅迫せられてるような心地。
[#ここで字下げ終わ
前へ
次へ
全293ページ中87ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング