しても駄目にきまってるのだ。……そういうことが母には少しも分らない。分らないのを俺は責めたくはないが、分らなさを以てつっかかって来られると、つい苛立って来ざるを得ないのだ。
喧嘩の後で、母は一人で泣いていた。俺も涙が出てきた。然しその涙を、俺は卑怯な涙だと感じる。涙で妥協するのは卑怯なやり方だ。そう思うと、俺の眼からはまた涙が出てきた。どうにも仕様がなかった。
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十月二十日――朝と夕方と二回、〇・〇〇三に当る分量を服用する。夜、軽い頭痛を覚ゆる。
十月二十一日――朝起きると、軽い眩暈を感じる。それもすぐに止む。空が綺麗に晴れ渡っている。視力がはっきりしている。
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珍らしく郊外に出てみる。櫟林に寝転ぶ。涼しい風が何処ともなく流れてきて、枯葉がひらひらと舞い落ちる。淋しい梢の間から、白い浮雲が見える。その雲をじっと見ていると、櫟林や自分自身や大地がゆるやかに動き出す。大きな波に揺られ流されてるような心地。雲は何時までも空高く懸っている。大地が非常に頼りなく思われる。……
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