待った。
然し隆吉は、なかなかそれを見せてくれなかった。祖母がまだ来ない、というのが初めのうちの答えだった。しまいには、とても駄目だと答えた。
「どうして?」と周平は尋ねた。
「いくら探してもないんだって。」
「え、写真がないって!……亡くなる前に撮《と》ったのをお祖母さんが持ってると、隆ちゃんは云ったじゃないの。」
「でもお祖母さんは、いくら探しても見つからないんだって。井上さんに見せるのだからと云って頼んでも、持って来てくれないんだもの。何処かにしまい忘れたんだろうから、出て来たらすぐに持って来てあげるって、そう云ってたよ。」
嘘を云ってるな、と周平は思った。祖母が大事な息子の写真をしまい忘れる筈はなかった。何か理由があるに違いなかった。
「そしてお祖母さんは、別に何とも云わなかったの。」
「ええ。」
「そんな筈はない。何とか云ったでしょう。……誰にも云わないから、ねえ、お祖母さんは何と云ったの。」
「だって、何とも云わなかったんだもの。」
周平はじっとその頸を見つめた。小鼻の小さな高い鼻がつんと澄していた。考え深そうな凸額《おでこ》が黙々としていた。然しその下から覗いてる眼
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