く、真剣な光りで眼を輝かせながら、冷たく引緊った顔をして疊みかけてきた。
「本当なのか。」
「本当かも知れないね。」
 村田は深く息をしたが、急に激した調子になった。
「それで君は済むと思うのか。……僕はこれまで君の弁護をし続けてきた。然し君自身が余りしゃあしゃあとしてるから、今晩は思い切って君に云ってやるつもりになったんだ。平素は僕も随分でたらめだが、君みたいな不道徳なことはしない。少しは感恩ということを知るがいい。自分の愛……愛とも僕は云わさない、慾望なんだ……その慾望を満足させるために、恩になってる人達の生活に泥を塗って、それでいいと思うのか。」
 周平は暫し呆気《あっけ》にとられた。が俄にぎくりとした。保子のことが頭の中に閃いた。それをじっと押えつけて、静かに云った。
「何のことだか僕には分らない。具体的にはっきり云えよ。」
「白ばっくれるなら云ってきかしてやる。」
 周平は眼を据えて次の言葉を待った。
「僕はその噂を聞いた時、初め自分の耳が信じられなかった。余りにひどい破廉恥な行いだ。」そして村田は声を低めたが、調子は一層鋭くなった。「君がお清と或る種の親しい関係に在ることは
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