さんの方はあの通りだし、僕も右のような事情で余裕がないものですから、自分で学費を稼ぎ出すという方針を立てなければなりませんよ。それは苦しいことには違いないが、なに全部稼がなくとも、不足の分位ならまた、水谷さんからの不時の送金もあるでしょうし、場合によっては僕が立替えてあげてもいいです。ただ、しっかりした決心だけは必要です。」
「それは初めから覚悟していたことですから……。」と周平は云った。
「勿論あの時もそうだったでしょうが、此度は実際の問題になったのですからね。……そして、何か仕事の心当りでもありますか。」
 問われてみると、周平は何もなかった。殆んど見当さえつかなかった。その様子を野村は暫く窺っていたが、やがて云い出した。
「実は、水谷さんの手紙を見た時、僕はすぐに今後のことを考えてみたのです。横田さんの家へ君を訪ねていった時、その相談をするつもりだったのが、何か考え耽ってるような君の様子を見て、云い出しかねたんです。そして、知人に尋ねてみた所が、仕事が一つあるにはあるんですがね、極めて割の悪い仕事だが、どうです、やってみますか。」
 それは、或る書物の飜訳だった。野村と同じ銀行に
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