も呼びかけるような心地だった。現実と夢との境がぼやけてしまった。眼覚めてるのか眠ってるのか分らない気持だった。何かをしきりに考えてるのが、いつのまにか悪夢のような形を取り、そしてうとうとしてるかと思うと、またはっと眼覚めた、そういうことを何度もくり返した。

     二十二

 周平がはっきりした意識に返った時、室の中は薄暗かった。電燈が消えて雨戸の隙間から明るい光りが洩れていた。彼は驚いて飛び起きた。雨戸を一枚開くと、朝日の光りがさっと浴せかかった。彼はくらくらとした眼を閉じて、それをまた開いた。東の空に太陽が昇っていた。その強い光りに縫われて、薄い靄が低く流れていた。
 彼はその景色に暫く見とれていた。それから深く呼吸をした。日の光りの下で考えると、前夜のことが頭の奥へ潜み込んでしまった。そしてただ、万事終ったという捨鉢な気持だけが残った。
 彼は室を片付けて、階下に下りていった。
 保子はもう起きていた。彼の顔をじっとみながら云った。
「相変らずの寝坊だわね。」
 周平は弁解しようとした、昨晩よく眠らなかったからだと。然しその言葉が喉につかえて出なかった。ちらりと彼女の方を見る
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