と答えたわよ。病気で熱が出てた時のことよ。井上さんとお父さんとが僕を置きざりにして逃げていった、というような夢をみたと云って、しくしく泣いてたこともあってよ。……あなたそれをどう思って? あの子のそういう心持も、あなたに責任がないとは云わせないわ、あなたは私達皆の心持に、どんな毒を流し込んでるか、よく考えてごらんなさい。」
 周平は初めて口を開いた。調子は落着いていた。
「よく分りました。私が悪かったのです。」
「悪かったというだけで済むと思って?」
 保子は憤りと興奮とで顔を真赤にしていた。周平は更に苛酷な叱責の言葉を待った。然し彼女は唇を痙攣的に震わせるきりで、もう何とも云わなかった。周平は静かに云った。
「私は自分で凡ての責任を負うつもりです。今は何にも申しませんけれど、いつかは、私のことをすっかり理解して頂ける時もあるような気がしますから、それを頼りに、自分一人の途を歩いてゆきましょう。」
 保子は眉根一つ動かさなかった。憎悪の念に凝り固ってるかと思われた。周平はぴょこりとお辞儀をした。そして、立ち上りかけながら云った。
「私は自分を……。」
 云いかけて彼は口を噤んだ。じっと
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