、特別に可愛く見える。その全体が、へんに頼りないのだ。――私はいつも、彼女からへんな印象を受ける。このひとは、たいへん不幸な目に逢うことになるかも知れない。長い病気にかかることになるかも知れない。いつまでも消えない悲しみを胸に懐くようなことになるかも知れない。今でもその日々が、淋しい頼りないものであるかも知れない……。もとより彼女はそのようなことを意識してはいない。だが、彼女の存在そのものが私にそのような印象を与えるのだ。
そんなことを私が思うのは、彼女を愛してるからであろうか。いや、私は普通の意味で彼女を愛してはいない。私はただ、その顔のすがすがしい感じが好きだし、その糸切歯の可愛らしい感じが好きなのだ。酔っ払って、自分自身を持てあまして、そして彼女をじっと見ていると、なにかしら胸が切なくなるのだ。
そのために、と言えば理屈に合わないが、私はしばしば喫茶店カツミへも行った。
終戦後、花柳界がどういうことになるやらまだ見通しもつかない頃のこと、加津美ではすぐ近所に、小さな喫茶店を開いていた。喜美子とも一人の女中とが店に出ていて、お上さんもたいていいた。もう五十歳にもなるこのお上さ
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