いんと底冷えがした。富久子が帰っていってから、お上さんも顔を出し、桃代はもうほかへ廻るのは嫌だと腰を落着け、三人で炬燵にあたりながら、よもやまの話に耽った。丁度カツミをやめたばかりのところだったので、あれの内実は喫茶店だったのか酒場だったのかというようなことから、喜美子のことにも話が及んだ。
「もうとって十八ですものね。ゆくゆくは養子を迎えるつもりですけれど、それまでどうしたものかと迷ってるんですよ。」とお上さんは私に向って相談するように言うのだ。
「いまさら芸者に出すわけにもゆきませんし学問をさせるわけにもゆきませんでしょう。芸事と言えば、あの通りあっちこっち生噛りですからね。」
 桃代はウイスキーをぐっと飲んで、じれったそうに言う。
「お上さんて、喜美ちゃんのこととなると、意気地がないわね。今のままでいいじゃないの。」
「そうでしょうか。」
「そうにきまってるわ。ここの娘さんでいいじゃないの。」
「そりゃあね、わたしがこれから十年も二十年も生きてるとすれば、それでいいんだけれど、この節、へんに胃が痛むんでね……。」
 お上さんの胃が痛むのは、いつものことで、よく知ってる者には口癖と
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