か変でもある。」
 その間の去就に迷った心で晋作は、いい家があったら越してもよいと考えるようになった。気に入った家をわざわざ引越すにも当るまい、と昼間は思っても、夜になると、女中部屋のあたりが妙に陰々として感ぜられた。五十燭光の電球を買ってきて内密につけてみても、やはりそうだった。そして何だか押入のあたりが……。
「明日《あした》から家を探すよ。」と彼は秋子に答えた。
 然しその明日が、一日々々と延びていった。でも一方で秋子は、出入の商人に空家探しを頼み初めた。
 すると或る日、晋作の家へ突然刑事が訪ねて来た。
 日曜日の午後一時頃だった。空家探しに出かけようと秋子に云われるのを、晋作はなお煮えきらない返辞ばかりして、その午前を愚図々々のうちに過してしまった。その間に一度、人知れずそっと女中部屋へはいってみたが、やはり何だか気持が変だった。昼食後彼は、二階の室にぼんやりして、うち晴れた大空を障子の硝子から眺めていた。これまでのことを考えるともなく考えてみると、馬鹿げているようでいて、そのくせ笑えもしなかった。自分でも思い迷った心地で、また大空をぼんやり透し眺めた。
 そこへ、清が来訪者
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