。平均して軽薄になってきた。」
 平均の例として、彼は私のことを持ち出した。昔は東京からのお客さんといえば、村人たちの注目の的となったものだが、この節ではそうでなく、私のことだって、誰も気に留める者はない……。その説は私にちょっと意外だった。私は以前の砂糖黍の一件を持ち出したが、それも彼に依れば、一時はやった買出人と同視されたわけで、つまり大して注目されなかったことになるのである。
 軽薄の例として、彼は三好屋の店のことを持ち出した。昔だったら、あれだけの店が村に出来れば、村人たちはたいていそこで用を済ましただろうが、この節では一向に客がつかない。村人はつまらない買物にも、一里近くある町に出てゆき、飲食にも町に出てゆく。贅沢というよりはむしろ身の程を知らぬ軽薄さだ……。その説も私にはちょっと意外で、村人に金が出来たからではないかと言ってみた。然し彼に依れば、一時は村人も金廻りがよかったが次第に貧乏になってきて、やがてどん底に落ちる兆候が見えてきた。昔は金よりも物だったのが、今では物よりも金となり、その証拠には実にけちくさい賭博がはやってる。
「今夜の八幡様のお祭りの、重箱の中の料理を見
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