は大変困りました。その頃はまだ、電気灯やガス灯《とう》はなくて、ランプやろうそくをつけていましたから、どんなにしても、ふいに吹いてくる風のために消されてしまいました。雨戸《あまど》をすっかり閉めきっても、どこからかその風が吹いてくるので、どうにも仕方《しかた》がありませんでした。しまいには、あかりが消えたらすぐにまたつける用意をしておきましたが、そのちょっと暗くなった間に、大事なごちそうはすっかりなくなってしまいました。それかと言って、大変|勤勉《きんべん》な村人達でしたから、まだ明るいうちに仕事をやめて夕飯をたべる気にもなれませんでした。
そしてなお不思議なことには、村で一番立派なごちそうをこしらえてる家に、そういうことが起こるのでした。うっかりごちそうもこしらえられませんでした。
一体何者がごちそうをさらってゆくんだろう? と村の人達は考えてみました。けれど、いくら考えてもわかりませんでした。何しろ姿も見えなければ音もしないんですもの、ただ不思議な怪物というより外、とうていわかりっこはありません。それでも村の人達は一生懸命になって、その正体を見届けようとしました。
するうちに
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