話をしながら、電車停留場まで来た。すると高木は、東京駅まで一緒に行くと云って、電車の中までついて来た。電車はこんでいなかったので、二人並んで腰掛けることが出来たけれど、高木は妙に黙りこんでしまった。
 それから、東京駅の前につっ立った時、高木はいやに私の顔を覗きこみながら、突然尋ね初めた。
「電車でいらっしゃるんですか。汽車ですか。」
「勿論電車だよ。」
「大森までお一人ですね。」
「ああ。」
「それじゃ私も、大森まで御一緒に行きましょう。」
「だって君、無駄じゃないか。」
「いいえ、私も一寸用があるんです。」
「そんならいいけれど……。」
「お邪魔じゃありませんか。」
「どうして……。」
「いえ……。本当にお邪魔じゃないんですね。」
「ないとも。いやに念を押すじゃないか。」
 そこで高木は、一人でにこにこっとして、切符を買いに駆け出していった。
 先生今日はどうかしてるな……と思いながら、私は後からついていった。すると、彼は二等の切符売場の前につっ立っていた。
「おい君、」と私は後ろからその肩を叩いた、「三等でいいじゃないか。」
「いいんです、今日は私に任しといて下さい。」
「金でも
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