ゆらゆらとした。
やがてへとへととなって、其処へどっかと臀をついた。荒い息使いが静まると、額の汗が冷えてねっとりとしてるのを、掌で押し拭った。それからじっと腕を組んで、身動きもしなかった。
だいぶたってから、彼はふと思い出したように立上った。板の間の隅から、椿の実のはいってる土瓶を取出して、中の水を盥に空《あ》けた。両手でかきむしった頭に少しつけると、冷りとして飛び上った。薬鑵の中に少し残ってる微温湯《ぬるまゆ》をさした。手をつけてもなお冷たいのを、我慢して、ずぶりと頭を浸した。自棄《やけ》に両手で頭をおしこすって、その後で顔を洗った。手拭で拭き取ると、顔がつるつるとして、髪の毛がぬるぬるとしていた。その毛を後ろにかき上げ、一寸小首を傾げながら、にやりとした。
跳ねるような足取りで歩いて行き、表の戸をがらりと引開けた。出たばかりの月の光りが、横ざまに流れていた。物の影が長く地面に印していた。それを暫く物色していたが、向うの小形の茂みが眼にはいると、かっと唾をして戸を閉めた。ランプを吹き消して、寝床に匐い寄り、頭から布団と蓆とを被った。
いつのまにか眠った。
夢の中で――地面に
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