拵えなければいけない、と黒川は言う。それから先は容易なのだ。私の会社には、小金を持ってる同僚がいくらもいる筈だし、まあ一万ぐらいなら融通してくれるだろう。学校教員だの下級官僚だのとは違って、小金を握りしめて放さない気風でもあるまい。うまく話をもちかければよろしい。ただ肝要なのは、一カ月以上の期限にはしないことと、期日には必ず返済することだ。その最初の返済のために二三万は作らなければいけない。そして出来た金を、黒川に預けておけば、月に二割の利子は確実に殖える。期日をずらしておけば、利子だけで元金が払えるばかりでなく、雪だるまのように大きくなってゆく。かりに二十人から一万ずつ借りて二十万集めれば、月に四万儲かることになる。同僚へは、僅か一カ月のことだし、利子を払うには及ばないし、煙草の十個もお礼すればよかろう。それでも先方にとっては、銀行利子よりは遙かに上廻るのである。
「このようなこと、ほかへ洩らしてはいけませんよ。あなたの名誉にも関わる。私としては、御恩報じのつもりです。ほかの人がいかほど持って来ようと、断じて引き受けはしない。私は金貸しで、借りる方じゃありませんからね。」
 黒川は愉
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