え、叔父ちゃま、何が?」
それをいきなり抱き上げて、久保田さんは子供の遊び仲間にはいっていった。
遊びごとはいくらもあった。じゃんけん、おはじき、影写し、おばーけ、こーこはどーこの細道じゃ、人取り、お馬ごっこ、ダンス………夫人や姪まで笑いくずれたし、お清も見物したし、中頃からは、洋太郎ものっそり勉強室から出て来た。
「お前もはいらないか。」と久保田さんは赤くほてった顔で云った。
「ええ。」と曖昧な調子で答えておいて、洋太郎は火鉢の側にくっついてばかりいた。
その代りに、中学二年生の二男が遊びに加わった。姪の子供達も、平素厳めしい大叔父さんがふざけるのを喜んだらしく、なお一層はしゃぎ出した。それでも久保田さんにはまだ足りなかった。嫁にいってる長女とその三歳になる子とが欠けていた。それを補おうとするように、久保田さんはなお騒ぎ立てた。台所から藁の御鉢入れを持ってきて、その蓋を頭の上でくるくる廻したが、此度は下の深い方を頭からすっぽり被って、それをゆるやかに動かしながら、膝頭で歩き出した。
「さあ猿蟹合戦だ。わしは臼だぞ。」
子供達はきゃっきゃ云って逃げ廻った。
膝小僧がともする
前へ
次へ
全17ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング