のだ。
こういう事情の下に、最も大切な文化的提携交流が、如何にして可能であるか。単に好奇心から発したものや、後進同士手を執り合うという気持ちから発したものなど、浅薄なもの以外に、真に鞏固な根深いそれが、如何にして可能であるか。互に刺戟し研磨し、互の創造力を助長し合うような根拠が、どこかに見出せないものであろうか。
吾々の生存の場として再認識される極東の地域は、中日両国の親和提携によらなければ、その安寧は期し難い。然しながら、両国の親和提携のみに頼るわけにはゆかない。現代では、地球は余りに狭い。一局部の波紋は直ちに全世界に伝わる。極東にも全世界の波瀾が押し寄せる。そして全世界は安定ではなく、国際連合の努力にも拘らず、時にはその努力が宙に浮き上るほど、動揺の胚種が地盤に内蔵されている。いつ、いずこに、如何なる爆発が起るか分らない。その時にまき起される波瀾に、極東は自力で対抗出来るか。
日本は既に武力を捨てた。自己防衛の力さえも持たない。中国はその広大な土地と四億数千万の人口とを持ちながら、内部抗争の紛擾の中にある。忌憚なく言えば、中国は一種の泥沼であって、そこに足を踏みこんだらもう足
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