というものをそう易々とは信じない。私がここに描き出したのは、中国の良識と日本の良識との間のことだ。両国の良識の間では、右の空想的な情景も真実として生き上るだろう。果して生き上るとすれば、両者は互に笑って見合せた後、手を差しのべて握手を交わすに違いない。
この握手の中で、極東という地域が意識される。中国も日本もこの地域の中にある。それは両国の生存の場だ。この地域の安寧が脅かされることは、両国の生存が脅かされることになる。そしてこの地域の安寧のために、即ち両国の生存の平安のために、両国は提携しなければならないのだ。過去にこだわらず、新らしい時代のために提携しなければならない。
両国の親善提携については、これを望む声が中国に高いと聞く。新らしい日本は固よりそれを希求している。そしてこのことに関する具体的な意見は、識者の間に数々あろう。
さし当って先ず、中国の天然資材や農産物は日本のために大いに役立ち、日本の技術は中国のために大いに役立つということは、一般の常識である。そして実際に、中国の豊富な資材や農産物が如何ほど日本に輸入されることが出来るか、これは中国の寛大な処置に頼るより外はない
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