わり]
煙吉――これで、正夫君への贈物は済んだ。
愛子――こんどはあたしたちも、少し御馳走になりたいものね。
酒太郎――そうだ、こちらも酒盛をしよう。
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酒太郎が酒瓶を出すと、一同はそれぞれ、正夫に与えたのと同じ品物を取り出す。
[#ここで字下げ終わり]
酒太郎――おい時彦、時計なんか仕様がないじゃねえか。もっと景気のいいものを出せよ。
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時彦はにっこり笑って、時計を両の掌に包みこみ、その掌を開くと、まるで奇術のように、時計は沢山の小さな丸い玉になっていた。半透明の丸玉で、恰も真珠のようだ。それを彼は、卓上にざーとあける。
[#ここで字下げ終わり]
時彦――食べてみろ、うまいから。その代り、断っておくが、これを食べると、なかなか眠られなくなる。それでもいいか。
酒太郎――いいとも、どうせ夜明しだ。
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一同は真珠めいた菓子に手を出し、かじってみる。うまいうまい、という歎声。そして酒を飲み始める。酒太郎はなお、酒の小瓶を幾つも出して、皆に勧める。一同ラッパ飲みをする。
間。
次第に酔いが廻ってくる。手当り次第に、
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