ハムーチャは起き上がって、頭を床にすりつけながら言いました。
「ああマージ様、どんな物をも煙にしてしまうというマージ様は、あなたでございましょう。どうか私にその術をお授《さず》け下さいませ」
「授けてもよいが、それには七年間苦しい修行《しゅぎょう》をしなければならないぞ」
「はい、七年でも十年でも一生の間でも、どんな苦しい修行もいたします」
 そしてハムーチャは、七年間マージの許《もと》で修行することになりました。それがまた一通りの修行ではありませんでした。水一杯飲まないで一週間も座り続けていたり、谷川の水に終日《しゅうじつ》首までつかっていたり、重い荷を背負って山道を上がり下りしたり、むずかしい書物を何千回も写し直したり、一月の間も無言でいたり、いろんな辛いことがありました。そして始終《しじゅう》、祭壇に燃える火を絶やしてはいけませんでした。ハムーチャは何度か力を落としましたが、その度毎《たびごと》に思いあきらめて、ともかく七年間の修行《しゅぎょう》を終えました。そして、どんな物でも煙にするという火の神の術を授《さず》かりました。その上、がんらいが手品師ですから、その煙をいろんなもの
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