ものか。もし運よく向こうへ行けて どんな物でも[#「行けて どんな物でも」はママ]煙にしてしまうという術を授《さず》かったら、それこそ素敵《すてき》だ。世間《せけん》の者はどんなにびっくりすることだろう。
ハムーチャは命がけの決心をしました。マージをたずねて北へ北へとやって行きました。途中でも村や町で手品を使って、もらったお金を旅費にして、酒もあまり飲まないことにいたしました。
二
北の方へ進むにしたがって、マージの噂《うわさ》は次第《しだい》に高くなってきました。けれど、マージがどこに住んでいるかは、誰も知ってる者がいませんでした。でもハムーチャは一生懸命でした。幾月もかかって、まっすぐに北の方を指して旅を続けました。野を越え山を越えて進みました。しまいには、人里遠く離れた深山《しんざん》に迷い込んでしまいました。それでもハムーチャは後に引返しませんでした。木や草の実を食ったり、谷川の水を飲んだりして、進んで行きました。獅子《しし》の森や、毒蛇《どくじゃ》の谷や、鷲《わし》の山や、いろんな恐ろしい所を通りぬけました。次には闇の森がひかえていました。鼻をつままれても
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