から食事の終り頃になって、彼はふいに云い出しました。
「一週間ばかり、一寸国へ帰って来ようかとも思いますが……。」
「え……そうだね、帰ってお母さんを安心さしてあげるのもいいだろうが、然し……、」と私は少し気の毒になって云いました、「それにも及ぶまいよ、僕からいいように云ってやっとくから。」
「いいえ、そんなことじゃないんですが……。」
 云いかけて彼は口を噤んでしまいました。
 それから、食事がすむと、彼はすぐに子供達の方へいって、羽子をつこうと云い出しました。子供達は大喜びです。母親にせがんで、玩具箱の底から古い羽子板と羽子とを出して貰って、皆で向うの座敷に馳けてゆきました。そして可なり長い間、子供達の笑い声に交って、かちん……かちん……という羽子の音が続きました。
 私と妻とは微笑の眼を見合したものです。
 所が、だいぶたってから、彼は座敷から出て来て、すぐ帰ると云って慌しく辞し去りました。その時彼が眼に一杯涙をためてたようだと、妻は後で私に云いました。私はそれに気付きませんでしたけれど、取り急いで帰ってゆく彼の姿は何だか普通でなかったようです。
 彼が帰っていってから、私は変に
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