ていて、その頭一面にもーっと湯気を立てて、しっきりなしに水洟《みずばな》をすすってるんです。屹度私から覗かれてるとでも思って、猶更いきりたったのでしょう。大きなトタン板をあちらこちらに持て余したり、つっかい棒をしたり、釘を打ったり、見ていると、滑稽を通りこして悲惨な気がしました。それでもどうやら庇のつぎ足しが出来上って、向うの室もその前の一寸した地面も、すっかり隠れてしまいました。」
彼はまた可笑しそうにくすくす笑い出しています。
私は一寸呆気にとられました。そんなことをぺらぺら饒舌る彼の気持が分りませんでした。そして余り彼の顔を見つめてたせいか、彼は一寸白けた顔付をして云いました。
「だって……先生だって、見れば屹度お笑いなさるに違いありません。」
そこで私は、彼に先をこされて立ち直ることの出来ないもどかしさから、いきなり問題にふれていきました。
「そりゃあ可笑しいかも知れないが、然し君、冗談じゃないよ、本当に。」
そして私は立上って、彼の伯父の手紙を持って来ました。
「これを読んでみ給い。」
彼は無雑作にそれを披いて、近眼の人が物を見るような工合に、眉根に皺を寄せて読み通
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