ずアイスクリームを自分で拵えました。それもアイスクリームが食べたいからというのではなく、その器械の柄につかまって、背中に汗をかきながら、ぐるぐる三十分近くも廻し続けることが、彼の気に入ったかららしいんです。
「運動するのはよい気持です。」というようなことを彼は云っていました。
 母上
 考えてみると[#「 考えてみると」は底本では「考えてみると」]、私は随分久しく帰省しませんでした。隙があったら墓参旁々帰国したいと思いながら、いつも何かの用事に邪魔されて、つい延び延びになってるのでした。今年の夏も帰れそうにありませんでしたから、平田伍三郎が夏の休暇に帰国するなら、いろいろあなたへことづけたいものもあると思って、そのことを彼へ頼んでおきました。
「国へ帰ってもつまりませんから、どうしようかと考えておるんです。」と彼は答えました。
 所が、七月になると彼は十日に一度くらいしか顔を見せませんでしたし、八月の初めからはさっぱり来なくなりました。
「平田さんはどうしたんでしょう。病気じゃないでしょうか。」と妻は云いました。
「病気なら端書一本くらいくれそうなものだ。……なあに、国へことづけ物があ
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