目ですね。」
「駄目です。」
うっかり云って顔を見合った。瞬間に、松木はひどく兇悪な表情をしたが、次にはアハハと高笑いをした。
「古井戸の上に金魚池を掘ろうとしたところで、とても……。」
駄目だ、とはさすがに云いかねたものか、ぷつりと口を噤んで、それから急に腹立ったらしく、掘り起した黒土を元通り直しにかかった。
土がすっかり元に直るまで、松木は一休みもしなかった。朝日の光を受けてる、その脂ぎった体力のよさを、彼は皮肉な眼で眺めていたが、何故だか、自分自身も一寸気持が納まりかねた。
掘り返されたためか、土の不足も見せないで、地面は平らになった。
「ついでに一寸手伝って頂きましょうか。」
松木はいきなりそう云い被せて、彼に手伝わせながら、円い自然石を庭の程よいところに据えた。それから更に不機嫌そうに、裏口の方へ行ってしまった。
松木が手足を洗って銭湯へ出かけた後まで、彼は縁側に腰掛けて、ぼんやり煙草を吹かしていた。
そこへ、房子がやって来た。
「あの穴は、何だかお分りになりましたの。」
「え、松木さんは何とも仰言らなかったんですか。」
「ええ、宅はいつでも、何にも聞かしてはく
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