に関係ある事柄として、ここに一つ断っておかなければならないのは、ロシヤの革命は根本的な社会革命ではなくて、実は権力の移転に過ぎないという一事である。十八世紀末のフランス革命は、貴族や僧侶の階級から第三階級ブールジョアジーへ権力を移転さした。恰度それと同じように、ロシヤ革命は、ブールジョアジーからプロレタリアートへ権力を移転さした。ただそれだけのことである。もとより、ブールジョアジーの支配する社会とプロレタリアートの支配する社会とは、おのずから面目を異にするのは当然であるが、強権主義であることには変りはない。単に強権主義の点から見れば、帝政ロシヤとボルシェヴィキのロシヤとは些かの変りもない。そしてこの強権主義は、文芸の上にも重くのしかかって軛を課し、ただ二つの目的を強要する。ボルシェヴィキの思想や主張の擁護者たれと命令するばかりでなく、直接その陣営に参加することを要求する。全社会が単一階級に還元された暁は知らないが、それまでの間は、その実現に向ってあらゆる努力を集中せよと命ずる。
 かかるロシヤを盟主とする世界各地のプロレタリア文芸が、同様の軛を課せられることはいうまでもない。
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