気がしたのです。いつそんな考えが起ったのか分りませんが、しまいにそれは殆んど確信に近いものとなっていました。今に私はその同胞を探し出し、名乗りあわなければならない。けれど、どこを探したらいいか。そのことを、私はどんなにか祖母に尋ねたかったのです。そしてまた何となく尋ねにくかったのです。
どこかに自分の同胞がいる……それはいつか夢にみて、その夢をどうしても忘れかねてる、そういう気持に似たものでした。本当かどうか、本当にはちがいないがもっと確かめてみたい……。
椿の花が落ち散ってるのを拾い集めている時、赤い熟柿を小鳥がつっついてるのを眺めている時、私は祖母の顔色を窺いました。けれどやはり尋ねかねました。そのたった一つの秘密を祖母に打明けられないことが、私の何よりの悲しみでした。
けれども、その秘密を話し合える友だちが一人、私にはありました。近所の、みよ子という私より一つ年上の子供でした。
私は家の中で、祖母を除いては殆んど一人ぽっちでしたが、村でも殆ど一人ぽっちでした。代々の農家ばかりの村では、二三軒の士族は一種の特別待遇を受けていましたし、その士族どうしはまた妙に冷かな交際ぶりだ
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