て、そのふしぎな力をみせてやりました。銅貨や銀貨をいれると、金貨にかわりますし、石ころをいれても、金にかわってしまいました。
 大臣はあかい服の男たちにさけびました。
「その魔法の袋をとりあげて、しばってしまえ」
 エキモスは皮袋をとりあげられ、うしろでにしばりあげられました。どうすることもできませんでした。
 大臣はいいました。
「お前は、けしからんやつだ。魔法をつかって、むほんをたくらんでいる。しかしもう、魔法の袋をとりあげたからには、どうにもできないぞ。かくごするがよい」
 エキモスはいろいろいいわけしましたが、なんのやくにもたちませんでした。びんぼう人たちのところに金貨をまきちらして、はたらくのがばかばかしいという気をおこさせ、公園で雀《すずめ》をよびあつめて、みんなのきげんをとり、そして神さまのお使いだなどといいふらして、むほんをたくらんでいる、というのです。
「これから、七日《なのか》のあいだ、森のなかの牢《ろう》にとじこめて、それから、島ながしにいたします」
 大臣は王さまにそうもうしました。王さまはだまってうなずきました。
 それで、おしまいでした。エキモスは森のなかの
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