、三角形に積み重ねてあります。米がいっぱい詰まって、きれいにくくりあげられてる、ま新しいものです。
それを見つけて、太郎は、おじいさんを呼んできました。
「ぼく、びっくりしちゃった。誰がしたんでしょう」
「なるほど、奇特《きとく》なことだ。いまに、その人がやって来るかもしれない……」
神主をしているおじいさんは、手をたたいて、丁寧《ていねい》に拝んで、戻って行きました。
いつの間にか、チロも出てきて、米俵を駆けのぼったり、駆けおりたりして、遊び始めました。それを見てると、太郎も、おもしろくなりました。俵と俵とのすきまからのぞくと、望遠鏡でのぞくようです。俵の山の上にのぼると、いい気持ちで、遠くまで見渡せます。朝日の光が差してきて、新しい俵の匂《にお》いがします……。
太郎はチロといっしょに、俵の山を乗り越えたり、周りをぐるぐる廻ったり、隠れんぼうをしたりして、遊びました。
近くの木には、雀《すずめ》がたくさん来ていました。太郎とチロが、俵の陰に隠れていますと、やがて、一匹の雀《すずめ》が、俵の上に飛んできて、チッチッと鳴きます。と、すぐに、後から後から、ほかの雀も下りて来ます
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