う。ねえ、トニイさんはいけない人じゃないわ」
トニイは何のことかわけがわからず、ただマリイのお母さんにていねいに挨拶《あいさつ》をしました。
マリイはあいてる方のベッドにトニイを腰《こし》かけさして、これまでのことを話しました。――先日、アパートの受付の婆さんのところへ、一人の男がやってきて、マリイに届けてくれと、小さな包みをおいていきました。マリイはそれを受け取って、あけてみると、びっくりしました。金貨や銀貨がたくさんはいっていて、ただそれだけです。それを持ってきたのは、どんな男だか、いくら婆さんにきいても、よくわかりませんでした。りっぱなみなりの紳士らしい人……というきりです。婆さんはぼんやりしていて、顔もよく覚えていないんです。何だか気味がわるくて、困ってしまいました。お母さんは心配しはじめました。マリイを誘惑するためじゃないかと思いました。ほかに誰も心あたりがないので、トニイをうたがいました。もう花売りにでてはいけないといいました。もしトニイがそのお金にかんけいがなくて、りっぱな人だったら、こちらにたずねてくるはずだといいました。それでマリイは、トニイが来てくれるのを待って
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