も聞えましたか。」と私は息をはずまして尋ねました。
「え? 何が?」
叔母の顔は俄に真蒼になりました。
私はほっと息をつきました。そして茶の間に戻りながら、夢からさめたような心地で明るい電灯の光を眺めました。
私はその話を叔母へは――また誰にも――決してしませんでしたが、叔母はその家が何だか陰気で不気味だというので、間もなく他へ引越してしまいました。そして影のことは、それきりになってしまいました。
底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社
1967(昭和42)年11月10日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2005年12月7日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全10ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング