して下さいませ。私は今すぐ、それがききとうございます。御返事がくるまで何日待っていなければならないのでございましょうか。私はもう一日も待てませぬ。一分間も一秒間も待てませぬ。お願いでございます。はっきりこうだというお言葉下さいませ。すぐに下さいませ。
――――
御嬢様御病気のこと、たまらなく胸が痛みます。
どのように御心痛の御事でございましょう。私の命にかえてと、泣きながら御仏に念じております。どうか御気を張り、病気などにお負け遊ばさないで下さいませ。私は昔、肋膜に沢山水がたまり、熱が四十度、息が出来なくなり、ほんとうに恐ろしゅうございました時、真暗闇の死の底に落ち込むのがこわくてたまらず、も一度起きてあの太陽の光の中を歩きたいと、夢の中であがき念じましたため、死からのがれることが出来ました。
御嬢様の御病状なんにもわかりませず、ただ気ばかりもんで切のうございます。
私は御嬢様の御病気御平癒を一生懸命御仏に念じております。私は今すぐ死んでもかまいませぬもの。そのかわり、御嬢様の御病気を一日も早くお癒し下さいますよう、御仏に念じております。
御大切な御嬢様、先生の御心をお思い
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