ヒューメーンということに就て
豊島与志雄
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「作品」に傍点]
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芸術上の作品は、一方に於ては作者に即したものであり、他方に於てはそれ自身独立したものである。この二つの見解は作品を眺むる眼の据え場所の相違から自然に出て来る。そして前者の見地よりすれば、「作品[#「作品」に傍点]凡庸可なりの論」をも私は認むるが、後者の見地よりすれば、「作品[#「作品」に傍点]凡庸主義の論」に私は賛成しない。作品をそれ自身独立したものとして眺むる時、作品は偉大なればなるほど、深刻なればなるほど、非凡なればなるほど、益々いいのである。
芸術創作家は、一方に於ては自己を育ててゆくものであり、他方に於ては他人に働きかけるものである。この二つの見解も眼の据場所の相違から起ってくる。そして前者の見地よりすれば、「作家[#「作家」に傍点]凡庸可なりの論」をも私は認むるが、後者の見地よりすれば、「作家[#「作家」に傍点]凡庸主義の論」に私は賛成しない。作家を他人に働きかけるものとして見る時、作家は、豪けれ
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