ているが、君たちをとらえることができない。」
「私たちはあなたといっしょにいます。愛《いと》しい人よ、安らかに!」
「私はもう君たちを失いたくない。私はどんなに君たちを捜したろう!」
「心配してはいけません。私たちはもうあなたのもとを離れはしません。」
「ああ、私は流れにさらわれてゆく。」
「あなたを運んでゆく河は、私たちをもあなたといっしょに運んでいるのです。」
「どこへ行くのだろう?」
「私たちが皆いっしょに集まる場所へ行くのです。」
「じきに行きつくかしら?」
「御覧なさい。」
 そしてクリストフは、必死の努力をして頭をもたげ――(ああなんと重いことだったか!)――漫々たる大河を見た。それは野を覆《おお》いながら、ほとんど不動なほどおもむろに厳《おごそ》かに流れていた。水平線のほとりに、鋼鉄の光に似たものがあって、日光に震えてる一筋の銀波が彼のほうへ駆けてくるかと思われた。大洋のとどろき……。彼の心は消え入りながらも尋ねた。
「あれが彼[#「彼」に傍点]か?」
 愛する人たちの声が答えた。
「あれが彼[#「彼」に傍点]です。」
 一方では、死にかかってる頭脳が考えた。
「扉《とび
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