に不信仰であり、神のことも悪魔のこともかつて気にしたことのないジョルジュは――すべてを嘲《あざけ》るこのほんとうのゴールの青年は――突然に、真理はここにありと宣言しだしたのだった。彼には真理が一つ必要だった。そしてこのカトリック教的真理は、行動の要求や、フランス中流人の間歇《かんけつ》遺伝や、自由にたいする倦怠《けんたい》などと、うまく調子が合ったのである。この若駒《わかこま》はかなり方々を彷徨《ほうこう》したのだったが、今はひとりでにもどってきて、民族の犂《すき》につながれようとしていた。数人の友の実例で十分だった。周囲の思想のわずかな気圧にも極度に敏感なジョルジュは、まっ先にかぶれた者のうちの一人だった。そしてオーロラは、どこへ行こうと同じような調子で彼のあとに従った。すぐに二人は自分自身に確信をいだいて、同じ考えをいだかない人々を軽蔑《けいべつ》するようになった。おうなんという皮肉ぞ! グラチアとオリヴィエとは、その精神的純潔や真摯《しんし》や熱烈な努力などをもってしても、心から希《ねが》いながらかつて信者にはなれなかったのに、その軽佻《けいちょう》な二人の子供は、真面目《まじめ
前へ 次へ
全340ページ中291ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング