るまでたがいにおのれをささげるという昔の流儀とは、まったく相いれないものであった。そしてクリストフは多少憂いの気持でながめた……。二人はすでにいかほど彼から遠くなってたことだろう! われわれの子孫を運びゆく舟はいかに早く進むことだろう!……でも気長く待つがよい。いつかはだれもみな同じ港で出会うだろう。
まずそれまで、舟は進路をほとんど念頭に置いていなかった。その日の風のまにまに漂っていた。――当時の風俗を変えようと試みてるその自由の精神は、思想や行動など他の領分のうちにも根をおろすのが自然だったはずである。しかし少しもそうはなっていなかった。人間の性質は矛盾などをあまり気にかけないものである。風俗がますます自由になると同時に、理知はますます自由を欠いていた。軛《くびき》をかけてくれと宗教に求めていた。そしてこの相反した二つの気運は、実に非論理きわまることには、同じ魂の中に起こっていた。社交界と知識階級との一部を風靡《ふうび》しかけてるカトリック教の新たな潮流に、ジョルジュとオーロラとはとらわれていた。もっとも面白いことには、生来非難好きであり、あたかも呼吸するのと同じくなんの気もなし
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