貌の輪郭も。その作品を完成させんがために、一身のあらゆる資力が徴集される。記憶の香箱が開かれて、そのもろもろの香《かお》りが発散する。精神は感覚を解放する。感覚を狂乱するままに放任して、おのれは口をつぐむ。しかしなおそばにうずくまって、じっと窺《うかが》いながらおのれの餌食《えじき》を選む……。
すべての準備が整う。作業の一隊は、感覚を歓《よろこ》ばす材料を用いて、精神が意匠した作品を仕上げるおのれの職務に通じていて労を惜しまないりっぱな労働者どもが、偉大なる建築家には必要である。そして大|伽藍《がらん》ができ上がる。
「しかして神はその作りたるものをながめたもう。そしてそれはいまだ[#「それはいまだ」に傍点]善《よ》からず[#「からず」に傍点]と観《み》たもう。」
巨匠の眼は己《おの》が創造の全体を見渡す。そして手ずから整調を完成する……。
夢想はかくてなし遂げられる。神はほむべきかな……。
真夏の白雲が、光の大鳥が、おもむろに飛翔《ひしょう》している。そして空は全部、その大鳥の広げた翼に覆《おお》われている。
それでもなかなか彼の生活は、自分の芸術だけに限らるることが
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