できなかった。彼がような者は愛せずにはいられない。しかもその愛は、芸術家の精神がいっさいの存在物に広げる平等な愛だけではない。選《え》り好み[#「り好み」に傍点]をしなければ承知しない。自分の選んだ人々に身をささげなければ承知しない。その人々こそ樹木の根である。それによって心の血液はすべて新たになる。
 クリストフの血液は涸《か》れかかってはいなかった。一つの愛が彼を浸していた――彼のもっともよき喜びとなっていた。それはグラチアの娘とオリヴィエの息子とにたいする二重の愛だった。彼はその二人の子供を頭の中では一つに結合していた。実際においても二人を結合させようとしていた。

 ジョルジュとオーロラとはコレットの家でよく出会った。オーロラはコレットの家に住んでいた。一年のうちの一部をローマで送り、残りはパリーで暮らしていた。彼女は十八歳になっていて、ジョルジュより五つ年下だった。背が高く、まっすぐな上品な姿で、頭が小さく顔が大きく、金色の髪、日焼けした顔色、唇の上の薄黒い産毛《うぶげ》、考え深いにこやかな眼つきをした明るい眼、肉づきのよい頤《あご》、浅黒い手、丸っこい強健な腕、格好のよい首
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